シワだけじゃない!「ナイアシンアミド」の美白効果
「ナイアシンアミド」は、2018年にシワ改善の医薬部外品の有効成分として承認されてから注目を集め、いまやシワ改善の主役になりそうな勢いです。
じつは「ナイアシンアミド」は、2007年に、美白有効成分としてすでに承認されていた成分。薬用美白化粧品だけでなく、シャンプーやコンディショナーなど、一般の化粧品にも広く配合されてきました。
ナイアシンアミドの美白作用としての働きは、基底層のメラノソームが表皮のケラチノサイトへ受け渡されるのを抑えるというもの。
他の美白成分のように、シミの原因となるメラニンを直接壊したり、メラニンができるのを防いだりする働きではないので、あまり注目されなかったのかもしれません。
ナイアシンアミドの美白効果は地味?
「ナイアシンアミド」の効果
「ナイアシンアミド」には、つぎのような働きがあることがわかっています。
- セラミドの合成促進によるバリア機能改善
- コラーゲンの産生促進によるシワの改善
- メラノソームの輸送に働き色素沈着を抑制
ナイアシンアミドの美白効果は、メラニンを内包したメラノソームの輸送を抑制することによるもの。メラニン色素そのものにはたらくわけではありません。
そのため、ナイアシンアミドの美白効果はゆっくりあらわれるようです。
美白成分の作用について
そもそも医薬部外品の美白成分は、どのような作用機序でシミに働くのか、さまざまな働き方(作用)を知ることで、ナイアシンアミドの作用がより理解しやすくなると思います。
化粧品成分オンラインによれば、これまでに医薬部外品として承認された美白成分には、つぎのような作用があげられます。
- メラニンの生成を抑える
- メラニンを還元する
- メラニンの排出を促進する
(ターンオーバー促進) - チロシナーゼの活性を抑える
- TRP-1の活性を阻害する
- TRP-2の活性を抑える
- プラスミンの産生を抑える
- プロスタグランジンの生成を抑える
- メラノソーム輸送を抑える
一言で”美白”といっても、薬用成分の作用にはかなりの違いがあることがわかります。
ここでは詳細は説明しませんが、メラニンに直接作用するものもあれば、チロシナーゼ、TRP-1やTRP-2など、メラニン色素の生成過程での酵素のはたらきを抑制するものもあります。
最後に挙げた”メラノソーム輸送を抑える”作用が、ナイアシンアミドの美白効果です。
メラニンの生成を直接おさえたり還元するわけではありませんので、ナイアシンアミドの美白効果がゆっくりあらわれると考えられます。
ナイアシンアミドには、セラミドを合成促進してバリア機能を改善する効果もありますから、結果的には、ターンオーバーをととのえることにもなるわけです。
「ナイアシンアミド」他の美容成分との併用について
ナイアシンアミドを配合した化粧品には、美容効果をアップしたり、テクスチャーを良くするために、使用目的にあわせてさまざまな成分が併せて配合されています。
結論的には、医薬部外品を含め、他の成分との相性はとてもいいようです。
ナイアシンアミドは、これまでもシャンプーやヘアコンディショナーなど、さまざまな化粧品に配合されてきた成分で、とても安全性が高いことが知られています。
ナイアシンアミドと「ビタミンC」との併用について、”併用を避けたほうがよい”との情報もあるようですが、併用による副作用の心配はしなくても良いと考えられます。
おなじ美白成分「レチノール」とナイアシンアミドとの併用についても、心配の声がありますが、こちらも問題はないようです。
まとめ
ナイアシンアミドは、コラーゲンの産生促進やセラミドの合成促進によって、シワやバリア機能の改善が注目を集めていますが、もともと美白効果について承認されていた成分。
またナイアシンアミドは、従来からさまざまなジャンルの化粧品に配合されてきたことからも、その安全性が確認できます。
シワへの効果が注目されているナイアシンアミドですが、シミへの働きは緩やかのようです。
もし老人性色素班(日光黒子)や肝斑(かんぱん)などのシミ改善をメインに考えるなら、ナイアシンアミド以外の薬用成分を配合した薬用化粧品を選んだほうがいいでしょう。
ナイアシンアミドの薬用化粧品を使うときは、メインはシワ改善、シミ予防をサブ目的として使うことをおすすめします。