ナイアシンアミドは効果が出るまでに時間がかかる?
ナイアシンアミドは、美白や深いシワを改善する効果が期待される薬用成分です。医薬部外品では、ニコチン酸アミドとして表示されることもあります。
従来の化粧品成分では、小じわを目立たなくするだけで、真皮層の深いシワへの効果は期待できませんでしたから、ナイアシンアミドは画期的な薬用成分と言えます。
ナイアシンアミドを配合する化粧品(医薬部外品)が、急速に増えていることからも、その有効性と期待度がわかります。
一方で、ナイアシンアミドは、美白やシワへの効果がゆっくりあらわれますから、効果を体感できずに、使用を途中で止めてしまう方もいるようです。もったいない!
ナイアシンアミドがどのように皮膚にはたらくのか、そのメカニズムを正しく知れば、ナイアシンアミドの効果をしっかり体感できるようになるはずです。
ナイアシンアミド「シワ改善作用」のメカニズム
ナイアシンアミドには、真皮層の深いシワを改善する効果が期待されています。
肌の弾力やハリは、おもに「コラーゲン」と「エラスチン」が作り出していますが、紫外線や加齢などにより、これらの成分が減少することによって、シワがつくられます。
コラーゲンやエラスチンは、真皮層にある線維芽細胞でつくられますが、検証試験では、ナイアシンアミドによってコラーゲンの合成量が増加することが報告されています。
つまりナイアシンアミドは、真皮層の深いシワにも効果が認められたということになりますが、その詳細なメカニズムについては、まだ明らかになっていないようです。
いずれにしても、シワの部位になにかを直接補うわけではありませんので、シワ改善の効果を実感するには多少時間がかかることになります。
ナイアシンアミド「美白効果」のメカニズム
ナイアシンアミドには、シワ改善だけでなく、美白効果があることがわかっています。
ただし、ナイアシンアミドは、シミの原因となるメラニン色素の生成を直接おさえたり、還元するわけではありません。メラノソームの輸送にはたらいて、色素が沈着するのを防ぎます。
つまりナイアシンアミドは、皮膚のターンオーバーのサイクルによって、シミが垢(あか)となって剥がれ落ちるのを待つことになります。
ターンオーバーのサイクルは、20歳では約1ヶ月ですが、年齢とともに長くなり、40歳なら約2ヶ月に。
そのため、ナイアシンアミドの美白効果はゆっくりあらわれると考えられています。
ナイアシンアミド「バリア機能改善」のメカニズム
ナイアシンアミドには、セラミドの合成を促進して、バリア機能を改善するはたらきが認められています。
セラミドは年齢とともに減少し、30歳ぐらいから減少が著しくなります。さらに30代後半になると、20代の半分ほどに減ってしまうようです。
セラミドの合成を促進することで、バリア機能を改善するナイアシンアミドには、乾燥肌(ドライスキン)やさまざまな皮膚トラブルを防ぐことが期待されています。
ナイアシンアミドの副作用について
ナイアシンアミドは、皮膚への刺激や皮膚アレルギーを誘発することはほとんどなく、安全性に問題がない成分と考えられています。
ただし、化粧品成分オンラインによれば、わずかな眼刺激を引き起こす可能性があるとの試験データもあるようです。
また、他の化粧品成分についても同様ですが、すべての人の肌質に合うとは限りませんので、お肌に異常を感じたら、ただちに使用を中止しましょう。
「レチノール」と「ナイアシンアミド」の併用について
「レチノール」は、ヒアルロン酸の産生をうながして、シワを改善する効果がある薬用成分です。
一方で、レチノールは、皮脂の産生をおさえるため、肌が乾燥しやすくなるようです。一時的ですが、乾燥肌や敏感肌になり、肌に赤みなど、「ビタミンA反応」と呼ばれる症状がでることがあります。
バリア機能修復作用があるナイアシンアミドは、レチノールととても相性がよい成分です。
ナイアシンアミドとレチノールを同時に配合した化粧品があり、他の美容成分などがバランスよく配合されていますから、使用部位や目的にあわせて選ぶとよいでしょう。
「ナイアシンアミド」と「ビタミンC」の併用について
かつて、「ナイアシンアミド」と「ビタミンC」の併用は避けたほうが良い、と言われたことがありました。しかし、現在、この説は否定されているようです。
以下の記事を参考にしてください。
まとめ
医薬品や医薬部外品にかかわらず、どんな薬用成分も、すべの人に合うわけではありません。
ナイアシンアミドは、深いシワにも作用することで注目されている成分ですが、美白作用やバリア機能の修復作用があることもわかっています。
副作用の心配がほとんどなく、他の成分との相性も良いようですから、とても使いやすい薬用成分と言えます。
ナイアシンアミドは、お肌への作用機序の特性から、すぐに効果があらわれるわけではありません。肌のターンオーバーのサイクルを考えて、じっくりと続けることがシワ改善の近道といえるでしょう。