「ナイアシンアミド」と「レチノール」の併用について・使う順番は?
「ナイアシンアミド」と「レチノール」の併用について・使う順番は?
”「ナイアシンアミド」は「レチノール」と併用できるの?”という質問をよく聞くようになりました。
こんな質問が増えてきたのは、ナゼ?
それはナイアシンアミドとレチノールが、それぞれ【医薬部外品】として承認された時期と関係しているようです。
「ナイアシンアミド」は、2018年に、シワ改善のための【医薬部外品】有効成分として承認されました。「レチノール」は、その前年2017年に承認になっています。
つまり、レチノールのほうが、医薬部外品としての製品化が早かったということ。レチノールを配合している資生堂「エリクシール」シリーズには、多くの愛用者がいます。
”併用できるの?”という質問が多いということは、レチノールの効果を実感しているけれど、ナイアシンアミドを試したいということでしょう。
結論から言えば、「ナイアシンアミド」と「レチノール」は相性が良く、両方を配合したアイクリームも発売されています。
あおもりPG(プロテオグリカン)配合した目元美容液『ハーリス アイセラム』は、メディアや口コミでも高い評価ですが、これにも「ナイアシンアミド」と「レチノール」の両方が配合されています。
「ナイアシンアミド」と「レチノール」を、それぞれ別のクリームで併用する場合、「ナイアシンアミド」を先に使ったほうがいいとの意見があります。
単一成分で考えれば、確かに油溶性の「レチノール」を先に使うと、水溶性の「ナイアシンアミド」が、お肌へ浸透しにくくなると考えられます。
しかし、オールインワン化粧品に代表されるように、水溶性・油溶性の美容成分を併せて配合しながら、成分の分離を防いだりテクスチャ―を良くするための技術が導入されていますから、どちらが先とは言い切れないかもしれません。
まずは、「ナイアシンアミド」と「レチノール」について、化粧品成分オンラインの情報などから、それぞれの成分の効果と特性(副作用)についてまとめました。
「ナイアシンアミド」と「レチノール」・効果の違い
「ナイアシンアミド」と「レチノール」は、どちらもシワに効果があるとして【医薬部外品】に配合されています。
従来の成分では、角質層の小じわへの効果に限定されていましたから、「ナイアシンアミド」と「レチノール」が、真皮層に原因がある通常のシワへの効果に訴求していることは画期的といえます。
しかし、それぞれの成分のお肌への働きかたには、つぎのような違いがあります。
◎ナイアシンアミド
- コラーゲンの減少改善による抗シワ作用
- セラミドなどの合成促進によるバリア機能改善
- メラノソーム輸送抑制による色素沈着抑制作用
◎レチノール
- ヒアルロン酸の合成促進による抗シワ作用
ナイアシンアミドはコラーゲンの産生に、レチノールではヒアルロン酸の産生に関わっています。どちらも、シワの改善にはたらくのが特徴です。
レチノールは、海外での試験データでは、コラーゲン合成の促進効果が確認されているようですが、国内で化粧品に配合される濃度ではその効果は確認はされていないようです。
「ナイアシンアミド」と「レチノール」・副作用について
「ナイアシンアミド」と「レチノール」、それぞれの【医薬部外品】は、安全性が確認されたうえで、厚生労働省が許可した一定の濃度で配合されていますから、医薬品のような副作用のリスクを伴わないと考えられます。
とくにナイアシンアミドは、【医薬部外品】として承認される以前から、シャンプーやヘアコンディショナーなどにも配合されるなど、安全性がとても高い成分です。
<レチノールの「ビタミンA反応」について>
ビタミンAの一種であるレチノールには、「ビタミンA反応」が起こることが知られています。
レチノールについては、口コミなどでも、ピリピリするなど皮膚への刺激を訴える方の口コミを目にしますが、レチノールそのものが肌への刺激性が高いということではないようです。
定期的にビタミンAを塗ると、お肌の新陳代謝がうながされ、古い皮膚を押し出され、これにともない肌に赤みなどの症状が出ることがあります。これを、ビタミンA反応といいます。
つまり、お肌が改善される過程で生じる症状なので、通常2週間~1ヶ月ていどで肌が慣れ、赤みや痒みなどが出なくなります。ただし、ムリな我慢は禁物!
レチノールを上手に使うポイントについては、以下の記事を参考にしてください。
肌への刺激の原因はレチノールが変化したもの?
「レチノール」は、そのままで作用するのではなく、体内で酸化により「レチノイン酸」に変化することで、シワ改善などに働くようですが、レチノイン酸は刺激性が高いのが特徴。
「レチノイン酸」は、欧米ではそのままニキビ治療薬として使われているそうですが、日本人の肌は白人とくらべ肌が非常に敏感なため、高確率で刺激性が高いレチノイン酸は医薬品としても未承認とのこと。
では不安定で酸化しやすい「レチノール」は、化粧品にどのように配合されているのでしょう。
化粧品に配合されるときは、不安定で変化しやすい「レチノール」の酸化を抑えるため、酸化防止剤としてトコフェロールなどをあわせて配合しているようです。
レチノールは、レチノイン酸ほど有意ではないもののシワに対して有用であり、皮膚刺激も認めらません。しかし、それでも肌への刺激を感じるのは、肌質や体質などによるのかもしれません。
まとめ
「ナイアシンアミド」は刺激性が低くとても安全性が高い成分で、「レチノール」と併せて配合したアイクリームも発売されています。
別々に使う場合、水溶性である「ナイアシンアミド」【医薬部外品】を塗った上に、かぶせるようにして油溶性「レチノール」【医薬部外品】を塗るほうが良いかもしれません。
結論づけていないのは、単一成分の化粧品はありませんし、水溶性成分と油溶性成分を併せて配合しているものがほとんどですから・・。
さらに最近では、使用するお肌の部位にあわせた配合成分の化粧品が増えてきました。シワを改善うする「ナイアシンアミド」が、その傾向に拍車をかけているようです。
そもそもお肌は、皮脂と汗が乳化されたようなエマルジョン効果によって、バリア機能がつくられています。
そう考えると、「ナイアシンアミド」と「レチノール」も同じかも。自身のお肌への刺激性をチェックしたうえで、じょうずに使いわけてみてはいかがでしょう。