紫外線対策に最適な服の素材・色は?
最近は一年を通して紫外線対策が必要なほど、日本でも紫外線が強くなっているようです。気象庁の紫外線情報も、以前とくらべるとかなり詳細に。
一言で紫外線といっても、UV-A、UV-B、UV-C と3種類の紫外線があって、それぞれ人体に及ぼす影響にはかなり違いがありますが、直接お肌へ影響をあたえるのは、UV-A と UV-B。
UV-C はとても有害な紫外線ですが、ほとんどがオゾン層で吸収され、地表まではとどきません。肌にひどいヤケドをつくるのは、UV-B 。皮膚ガンの原因にもなります。UV-A は、皮膚の深部(真皮層)までとどき、細胞のコラーゲンの配列を変化させ、長く浴び続けるとシワやたるみの原因になります。
紫外線対策は、美容だけでなく健康面からも優先課題といえるでしょう。
紫外線対策といえば、UVクリームは必須アイテムですが、つねにしっかり肌を守ってくれているのが衣服。長袖が推奨されていることはよくご存知だと思いますが、服の素材や色などの違いによっても紫外線対策への効果は変わってくるようです。
紫外線対策に最適な服の素材・色について
プールや海水浴では長袖をはおった方を多く見かけますが、街中では半袖やノースリーブが多いようです。
紫外線対策を考えると、街中でも長袖を着たほうがいいわけですが、連日、30℃を超える暑さのなかでは、ファッション性だけでなく実質的にも長袖は無理ということでしょうか。
ところで衣服は、全身を包むことで、肌を確実に紫外線からガードしてくれるわけですが、どんな素材でも同じような効果があるわけではないようです。
参考文献:布の素材、織、色の違いによる紫外線透過率について
こちらの論文によれば、実験結果から、布の紫外線透過率は「素材物質」、
「織り方」、「色」に依存するということが分かったとのこと。
とくに、素材が変わるだけで紫外線透過率は 47.4% も変わり、織り方を変えると 31.9%も変化したとの結果になったようです。さらに興味深いのは、色。紫外線透過率は、色を変えても 0.25%程度しか変化しなかったようです。
素材による紫外線透過率の違いについて
「布の素材、織、色の違いによる紫外線透過率について」の実験では、素材によって、紫外線透過率にかなりの違いがあらわれています。
実験では、ブラックライトによる UV-A(ピーク波長 365nm)の紫外線がつかわれています。※UV-A の波長:320~400nm
実験につかわれている素材は、綿(セルロース)、ナイロン(ポリアミド)、ポリエステル(ポリエステル)の3種類。
実験の詳細はここでは省略しますが、紫外線透過率の平均は、つぎのような結果になっています。
- ナイロン 47.4%
- 綿 0.322%
- ポリエステル 0.0183%
ナイロンは、半分ていどの紫外線を透過してしまいますが、綿やポリエステルの紫外線を防ぐ効果はナイロンとくらべケタ違いに高いことがわかります。とくに、ポリエステルの透過率がわずか 0.0183% なのは驚きです。
布の織り方による紫外線透過率の違いについて
布の織り方が違うだけでも、紫外線の透過率はかなり変わるようです。
実験には白色の綿布がつかわれ、密度が違う3種類の織り方で調べています。密度は、ローン<シングルガーゼ<シーチング の順で、一番密度が高いのはシーチングです。
- ローン
- シングルガーゼ
- シーチング
実験結果では、同じ素材でも、密度が高いシーチングがもっとも紫外線を防ぐ効果に優れていることが確認されています。
ちなみに、密度が小さいローンと密度が最も大きいシーチングでは、紫外線透過率に約 31.7%の差があったとのこと。織り方が緻密なほど、紫外線を防ぐ効果が高いのは、想定どおりといえます。
布の色による紫外線透過率の違いについて
布の色も、紫外線の透過率に大きな影響を与えます。
紫外線の透過率が一番高いのは、白色。白色は、可視光をよく反射しますが、紫外線をさえぎる効果は低いようです。なお、この実験では、UV-A(ピーク波長 365nm)がつかわれています。
もっとも紫外線透過率が低いのが黒色のようですが、白色との差はそれほど大きなものではなく、その差はわずか 0.25%程度。
もっとも、気温が高い日に黒い服装を着るのは、なかなか勇気がいりますし、見た目にも暑そう。まして、長袖となると・・・。
「布の素材、織、色の違いによる紫外線透過率について」では、色について、白、黄、青、赤、緑、黒の5色をつかって、紫外線透過率を検証しています。
紫外線透過率の結果は、透過率が高い順から、白、黄、青、赤、緑、黒ですが、白色と黒色の差はわずか 0.25%程度ですから、色がついていればどの色の布であっても一定の効果は期待できると考えてよさそうです。
あらためて確認しておきますが、紫外線透過率が高いということは、紫外線 UV-A がそのまま肌に達しているということです。
まとめ
紫外線対策を考えると、服のファッション性がかなり制限されてしまいそうですが、UVクリームや日傘などをあわせて使うことで、おしゃれの自由度が高くなります。
とくに、素材の色について言えば、黄のような明るい色であっても、青や赤とおなじように紫外線をカットする効果が期待できますから、カラーコーデをしやすいのではないでしょうか。
ここでは、紫外線対策としての衣服についてお話しましたが、顔や手の甲などには、UVクリームなどによる日ごろからのケアをつづけることが大切なのはいうまでもありません。
また、紫外線UV-Aは真皮層まで到達してシワやたるみの原因になりますから、カラダの内側からのケアも重要です。