卵の殻(卵殻膜)を捨てられなくなるかも?赤ちゃん肌の秘密
毎日の料理に欠かせない食材が、卵。
この卵の殻には、美容や健康に有益な成分が含まれていることは、かなり以前から知られていますが、活用しているメーカーは、まだ少ないようです。
卵の殻といっても、正確に言えば、一番外側の堅い殻、その内側の薄い膜、卵殻膜(らんかくまく)があります。
この卵の殻に着目した企業の一つにが、イフジ産業株式会社。あまり馴染みがない会社ですが、じつは、鶏卵加工では国内トップメーカー。福岡に本社がある上場企業です。
これまで、卵の卵白や卵黄を加工して、業務用の商品として販売していましたが、卵の殻は、廃棄するか競技場の白線などに使うしかなかったようです。
卵の殻の主成分は炭酸カルシウムですが、滋賀県のバイオベンチャー企業と組んで、歯磨き粉原料などに活用する研究をすすめているとのこと。
じつは、卵の殻から卵殻膜(内側の薄皮)を分離するのは、技術的にむずかしいそうで、その分離技術が確立したことで、外側の殻だけでなく、分離した卵角膜の化粧品や医療品への応用も期待できるのだとか。
卵殻膜の効果については、化粧品メーカー・アルマード社(東証上場)が早くから卵殻膜成分に着目。東京大学との共同研究から、卵角膜エキスを配合した化粧品や美容ドリンクを開発してきました。
鶏卵加工の国内トップメーカー・イフジ産業(株)が、卵角膜事業に加わることで、卵殻膜コスメがさらに注目されることになるのかも?
卵殻膜・おどろきの美容成分
卵殻膜には、天然美容成分の宝庫とも言われ、18種類のアミノ酸やコラーゲン、ヒアルロン酸をふくんでいます。
アミノ酸組成が、人に近いので、化粧品成分として肌なじみが良いのも特徴の一つです。
とくに、シミやそばかすにはたらくと言われる「シスチン」を多く含んでいるのが特徴です。ちなみに、シスチンのアミノ酸組成値は15.8%で、他のアミノ酸とくらべても抜きん出ています。
引用:アルマード ラディーナ 公式サイト
赤ちゃんのぷるぷる肌は「シスチン」のおかげ?
卵殻膜に多く含まれるシスチンは、赤ちゃんのぷるぷる肌とも関係しているようです。
赤ちゃんのぷるぷる肌をつくっているのは、Ⅲ型コーラゲン。たぶん、どこかで聞いたことがあると思います。
お肌のコラーゲンには、Ⅰ型コラーゲンとⅢ型コラーゲンがあり、加齢によって肌のハリが失われるときに、その部位ではⅢ型コラーゲンが減少していることが、研究でわかっています。
このⅢ型コラーゲンに深く関係していると考えられるのが、卵殻膜にとても多く含まれている「シスチン」です。
30代以降、ハリの衰えが目立ってきますが、これには赤ちゃんのぷるぷる肌をつくっているⅢ型コラーゲンの減少も原因の一つになっているかもしれません。
シスチンは、L-システインが2つ結合したかたちで、牛肉や豚肉、鶏肉や魚などの動物性たんぱく質に多く含まれ、栄養的には、システインはシスチンと同様に扱われています。
L-システインは、皮膚のターンオーバーを正常化して、古い角質を排出するはたらきがある非必須アミノ酸の一種です。
もし卵殻膜を顔に貼ったら、相撲部屋では実際に・・・
毎日のように使う卵ですから、これまで捨てていた卵の殻(卵殻膜)を顔に貼り付けてみよう、と考える人もいるのでは?
実際、相撲部屋では、稽古などでケガをしたときに、この卵殻膜が使われてきました。頭がぶつかって、眉の上が切れたときなど、卵角膜を貼ると治りが早いとのこと。
今でも、この治療法が使われているかわかりませんが、一般的なクリームなどの薬を塗るより回復が早いようです。
かつて、力道山という国民的ヒーローになったプロレスラーがいました。プロレスに流血はつきものですが、つぎの試合ではなにごとも無かったように傷口がきれいにふさがっているのを見て、外人レスラーが不思議がっていたというエピソードも。
プロレスは、相撲部屋出身だったので、そのときの知識が活かされたわけです。
卵殻膜の化粧水は自作できる?
卵殻膜の化粧水を、自作している方もいるようです。
材料は、卵角膜10個分、アルコール度数40度以上のお酒150mL、昆布5gですが、卵の殻から卵殻膜をはぎ取るのがかなり大変なようです。
◎卵殻膜の化粧水をつくる手順
- 剥がした卵殻膜をカラカラに乾かします。
- アルコール度数40度以上のお酒に卵殻膜を適量いれます。
※好みで出汁昆布を入れる。 - 冷蔵庫などの暗い所で10日~2週間放置。
わりと簡単にできますが、卵殻膜を貯めておくのが、ちょっと面倒かもしれません。出汁昆布を入れる理由はわかりませんが、ミネラル分の補充?
卵殻膜を含め天然素材の化粧水ですが、卵アレルギーなど、お肌に合わない方もいると思いますので、お肌の状態に気をつけて使いましょう。
卵殻膜の美容ドリンク
卵殻膜成分を配合している化粧品や美容ドリンクが、かなり増えてきました。
冒頭で紹介したイフジ産業株式会社も、卵角膜成分を配合した化粧品を、消費者向けに開発してくるかもしれません。
卵殻膜を、早くから化粧品に応用してきたのが、化粧品メーカー・アルマード社(東証上場)で、さまざまな化粧品や美容ドリンクを開発しています。
アルマード社では、卵角膜素材に改良を重ね、肌への刺激や臭気を年々弱めながら、原料から抽出される単位あたりのアミノ酸量を増加させているようです。
赤ちゃんのぷるぷる肌が気になる方は、『アルマード Ⅲ型 卵殻膜ドリンク』を試してみると良いかもしれません。