肌が乾燥してくるとなぜ痒くなる?かゆみを感じる神経「C-繊維」
肌の乾燥と痒みの神経「C-繊維」との関係
乾燥しやすい季節になると肌がかゆくなる、という方が多いようです。
乾燥によって肌のバリア機能が低下すると、アレルギー反応を起こすアレルゲンや繊維が硬い衣服などの刺激の影響をうけやすくなります。
皮膚の細胞からは、かゆみを引き起こす物質が放出され、かゆみを感じる神経線維がこの情報を脳へ伝えることによってかゆみが生じます。この神経線維を「C-繊維」といいます。
以前は、「かゆみ」も「痛み」と同じように痛点で感じると考えられていましたが、今ではかゆみ専門の神経があることがわかっています。それが「C-繊維」。
C-繊維がなければ、かゆみを感じないですむわけですが、C-繊維があることによって、肌トラブルが重症化する前にはやめのケアができるわけです。
つまり、かゆみは大切な防御反応と考えることができます。
もし、かゆみを感じることがなければ、たぶんずっと放置。その結果は言うまでもありませんね。
乾燥肌になると表面近くまで伸びてくる「C-繊維」
C-繊維は、通常ならば表皮と真皮の境目あたりにとどまっています。しかし、乾燥肌になると、C-繊維が角層のすぐ下まで伸びてくるようです。
C-繊維の先が、角層(表皮の一番外側にある)まで伸びてくると、外部からのわずかな刺激に対しても反応するようになります。
そのため、化粧品や石鹸の成分、衣類の繊維などのちょっとした刺激にも反応して、かゆみを感じることになるわけです。
乾燥肌(ドライスキン)とは
お肌は、一番外側から順番に「表皮」「真皮」「皮下組織」に分かれています。「表皮」の厚さはわずか0.2mmほどで、その一番外側には、レンガを積み上げたような角質細胞が、「角層」を形成しています。
角質細胞の隙間を埋めているのが「セラミド」とよばれる脂質で、ちょうどレンガ同士をくっつける役割と、水をためる役割があります。
さらに、お肌の表面で大切な役割をしているのが、「皮脂膜」。汗と皮脂が混じりあった薄い膜で、外部刺激から肌をまもるバリアの最前線といったところでしょうか。
洗浄力のつよい石鹸を使ったり、ゴシゴシ擦り洗いをすると、皮脂膜を落としすぎてしまい、その結果、皮膚のバリア機能が低下して、角質細胞も痛めてしまうことになります。
また、加齢などによるセラミドが減少は、角層のレンガ構造が崩れる原因になり、これによってもバリア機能が低下します。
さらに、冬の冷たい風や乾燥した空気が角層の水分を奪うため、皮膚の水分がどんどん失われ、カサカサした乾燥肌になってしまうのです。
かゆみを引き起こす物質「ヒスタミン」って何?
「ヒスタミン」は、かゆみを引き起こす物質としてよく知られています。
ヒスタミンは生体内で、アミノ酸であるヒスチジンから合成され、末梢ではおもに肥満細胞に貯えられています。皮膚にある肥満細胞が刺激されると、ヒスタミンが分泌されることになります。
このヒスタミンが、かゆみを伝える神経「C-線維」にはたらくと、脳がかゆみを感じることになるようです。
乾燥肌(ドライスキン)による”かゆみ”は、「ヒスタミン」とは無関係!
ヒスタミンは、かゆみの原因物質としてよく知られていますが、順天堂大学・環境医学研究所のレポートによれば、乾燥肌(ドライスキン)によるかゆみには、おもに肥満細胞などでつくられるヒスタミンは関与していないとのこと。
乾燥肌になると、かゆみを感じる神経「C-線維」が体の表面近くまで伸びてくるため、お肌の外部からの刺激である衣服などの刺激でもかゆみが起こります。
ヒスタミンはおもに肥満細胞に蓄えられますので、乾燥肌による皮膚の表面で生じるかゆみには関わっていないようです。
ちなみに、かゆみの原因となる物質には、ヒスタミン以外にも、脂質、サイトカイン、セロトニン、タンパク質分解酵素などがあり、免疫細胞や表皮ケラチノサイトなどでも作られ、分泌されているようです。
まとめ
空気が乾燥しやすい冬は、乾燥肌(ドライスキン)の方にとっては、とてもつらい季節です。
お肌がチクチクしてきたら、もしかしてC-繊維が皮膚の表面までかなり伸びてきているのかも・・・。このような症状を感じたら、はやめに保湿によるスキンケアをしましょう。
もちろん、洗顔でのゴシゴシ洗いや洗浄力が強すぎる石鹸は禁物。皮脂を落としすぎないように、水分とのバランスをじょうずにとるのがポイントです。
スキンケアのアイテム選びでは、自分の肌質にあったものを選ぶ必要がありますが、化粧水や美容液をふくませたら、水分などが蒸散しないようにクリームで保護してあげましょう。
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